関西心理学会 第127回大会 研究奨励賞 受賞 2016.11.3
大学院研究員の庭山和貴さん(米山ゼミ)が関西心理学会の第127回大会 研究奨励賞を受賞しました。
自閉症のある児童は通常学級において、支援のない状態では授業参加 (指示された活動・課題に取り組む、前を向いて話を聞く、発言・発表するなど) に困難を抱えやすく、離席など問題行動への支援ニーズが高いことが指摘されています。本研究では、公立小学校の1年生通常学級に在籍する自閉症のある児童を対象とし、離席行動の減少および授業参加行動の増加を目的とした支援を教師と協働で行い、その効果を検証しました。
支援前の対象児は、授業中の頻繁な離席・授業妨害行動が観察されていました。これら対象児の問題行動について、機能的アセスメントを行った結果、教師の注目 (着席するよう注意するなど) によって問題行動が強化されていることが推定されました。そこで対象児が着席している際に、教師が対象児に頻繁に注目 (個別指示もしくは言語賞賛) する個別支援を実施しました。教師に対しては、対象児に頻繁に注目しやすいように、小型機器による5分間隔の振動によるプロンプトとフィードバックを導入しました。その結果、教師による着席中の対象児への注目が増え、これとともに対象児の離席行動は減少し、授業参加行動は増加しました。このように、教師が対象児への個別支援を行いやすいようにプロンプト、フィードバックを導入することで、教師は日常的に教室内で対象児への個別支援を実施することができ、これによって対象児の授業参加を大きく改善することができました。
受賞発表:庭山和貴・松見淳子 (2015). 通常学級に在籍する自閉症のある児童に対する担任教師と協働した行動的支援―担任教師の対象児に対する注目の増加が授業参加行動・離席行動に及ぼす効果―. 関西心理学会第127回大会, 関西学院大学