産業技術総合研究所の井上和哉特別研究員と大竹恵子教授が日本健康心理学会第29回大会優秀発表賞を受賞しました。
本研究は、井上和哉氏が日本学術振興会特別研究員PDとして関西学院大学に所属していた際に行われたものです。
日本健康心理学会第29回大会優秀発表賞は、主発表者が39歳以下である研究の中で、特に優れた3件のみに贈られる賞です。
食物の画像を長時間観察したり、食物の摂取をイメージしたりするだけで、その食物に対する摂取欲が低下することが近年報告されています。しかし、このような現象の生起メカニズムは未だ明らかにされていません。本研究では、食物の画像に注意を向けることが、食物画像の観察による摂取欲の変化に重要であると考え、実験を行いました。食物の動画(グミまたはポテトチップス)を参加者に提示し、半数の参加者には、動画に含まれる食物が取り去られた際にキーを押すことを求めました(注意群)。また、残りの半数の参加者には、同じ食物の動画に特定の文字が出現した際にキーを押すことを求めました(非注意群)。この課題の前後に動画に含まれていた食物及び含まれていない食物の摂取欲を測定したところ、注意群でのみ摂取欲の変化が認められました。この結果は、食物画像の観察によって摂取欲が変化するには、食物そのものに注意を向ける必要があることを示唆しています。今後はこの現象の生起メカニズムを更に明らかにし、食行動をコントールする手法の開発へと応用したいと考えています。
【発表タイトル】視覚的な感性満腹感の生起における注意の重要性
【学会名】日本健康心理学会第29回大会
【発表者】井上和哉(産業技術総合研究所自動車ヒューマンファクター研究センター)、大竹恵子(関西学院大学文学部)