本学博士課程前期課程2年の白井理沙子さん(小川ゼミ)が、2016年度日本基礎心理学会優秀発表賞を受賞しました。
この賞は、日本基礎心理学会第35回大会における35歳以下の研究者の発表のうち、特に優秀であった8件に贈られた賞です。
蓮の実や窓についた結露のような集合体を見たとき、「気持ちが悪い」と感じたことはないだろうか。これはトライポフォビアと呼ばれ、画像のもつ中程度の空間周波数帯域における特異な振幅スペクトルが毒性生物のそれと類似しているために生起する可能性が指摘されている (Cole & Wilkins, 2013)。本研究は、トライポフォビア喚起画像の保有するこの特異な振幅スペクトルが、意識的気づきに与える影響を連続フラッシュ抑制の手法を用いて検討した。その結果、トライポフォビア喚起画像は他の種類の画像 (脅威動物/穴/中性) より早い時点で意識にのぼることが明らかとなった。ただし、画像の位相情報をスクランブルすることによって振幅スペクトルの情報のみを呈示した場合には、そのような効果は生じなかった。これらの結果は、トライポフォビア喚起画像の持つ特異な振幅スペクトルのみでは無意識下の処理を促進しないが、そこに集合体画像の嫌悪的な意味情報が加わることによって無意識下の処理が促進され、意識的な気づきが早まることを示しているといえる。
受賞発表:
白井理沙子・小川洋和 (2016/10).トライポフォビア喚起画像のスペクトラム特性が意識的気づきに与える影響.日本基礎心理学会第35回大会,東京女子大学.