道野栞さん 2017年度関西心理学会研究奨励賞 受賞

本学博士課程後期課程1年の道野栞さん (佐藤暢哉ゼミ)が第128回大会関西心理学会の研究奨励賞を受賞しました。
この賞は、第128回大会(京都大学)における35歳以下の若手の優れた研究発表に対して与えられる賞です。

映像作品の 2 者の対話場面では、発話人物を交互に映すことがある。その時、 2 者の左右の位置関係が画面上で入れ替わらないようにカメラを切り変えるこ とが多い。この技法を 180 度ルールと呼び、2 者の間に想定される線の片側の 領域でカメラを動かしている。本研究では、180 度ルールに従うカメラ移動が 空間記憶の正確性に与える影響について検討することを目的とした。 実験では、対話する 2 者を 180 度ルールに従って写した映像と逸脱した映像 を視聴させた後、2 者の周囲に配置されていた物体位置の再生を求めた。その結 果、180 度ルールに従う映像を視聴した場合の方が、空間記憶がより正確であ った。しかし、180 度ルールに従った場合と逸脱した場合で、1 ショット目から 2 ショット目までのカメラの移動量が異なっていた。そこで、カメラの移動量を 揃えた映像を用いた結果、カメラ移動が 180 度ルールに従うかどうかは空間記 憶の正確性に影響を及ぼさなかった。180 度ルールを逸脱した映像の 2 ショッ ト目では、対話する 2 者のほぼ側面を写していた。そのことにより、物体の位 置関係が把握しやすくなった可能性があった。そこで、対話者に対するカメラ 位置を揃えて検討した。映像では、1 ショット目は聞き手の後方から話し手の顔 を、2 ショット目は両者の側面を写した映像を用いた。その結果、カメラの移動 量が同じ場合でも、180 度ルールに従う映像を視聴した場合の方が、空間記憶 がより正確であった。

受賞発表:
道野栞・佐藤暢哉 (2017/11). 180度ルールに従うカメラ移動が空間記憶の正確性に及ぼす影響. 第128回大会関西心理学会, 京都大学.

カテゴリー

アーカイブ