小林正法さん(現在は山形大学・准教授)が博士研究員在籍時に行った研究が第16回日本認知心理学会優秀発表賞(発表力評価部門)を受賞しました。
第16回日本認知心理学会優秀発表賞(発表力評価部門)は,研究発表のうち,特に発表力評価が優れた発表に贈られる賞です。
ある記憶を検索することが他の関連する記憶の忘却を導く現象を検索誘導性忘却(Anderson et al., 1994)と呼ぶ.本研究ではこれまで明らかにされていない系列記憶の検索誘導性忘却について検討した.系列記憶はアイテム記憶と順序記憶に分離できるとされるが,本研究では順序記憶において検索誘導性忘却が生じるかを調べ,その機序の説明として抑止(inhibition)が妥当かどうかを検証した.実験1,2の結果から,順序記憶の検索誘導性忘却が生じることが明らかになった.抑止理論が想定する検索固有性に基づけば,検索を再学習に置き換えた場合に,検索誘導性忘却が消失すると想定される.そこで,検索を再学習に置き換えた実験3を行った結果,検索誘導性忘却は生じないことが明らかになった.一連の実験の結果,順序記憶の検索誘導性忘却が生起すること,そして,その機序として抑止が妥当であることが明らかになった.
【発表タイトル】系列記憶の検索誘導性忘却-事前登録による実証-
【学会名】第16回日本認知心理学会大会
【発表者】小林正法(*関西学院大学文学研究科・応用心理科学研究センター)・上野泰治(高千穂大学)・川口潤(名古屋大学)
*発表当時