日本健康心理学会 2016年度 本明記念賞 受賞2016. 11. 19.
本学博士課程前期課程2年の金田亜里沙さん(大竹ゼミ)と大竹恵子教授が日本健康心理学会の2016年度 本明記念賞を受賞しました。
本明記念賞は、前年に発行された「健康心理学研究」の中から優秀論文に選出された研究者に贈られる賞です。
本研究では、育児幸福感を感じる場面や状況を考慮した日常生活での育児幸福感尺度を開発し、楽観性が母親の育児幸福感に及ぼす影響について検討しました。これまでの母親の育児に関する心理学研究では、産後うつや育児ストレスといった育児に関するネガティブな側面に焦点が当てられ、とりわけ臨床的なサポートの必要性について検討されてきました。しかし近年、ポジティブ心理学の動向を受けて、育児に関するポジティブな側面について検討されるようになり、育児という経験を通して母親の主観的ウェルビーイングが高まることが示唆されるようになりました。一方、従来の研究から、心身の健康に関連する個人特性として楽観主義(未来に対して良い結果を期待する傾向)が指摘されていますが、育児幸福感との関連については明らかにされていませんでした。そこで本研究では、より具体的な育児場面や状況を考慮したうえで母親の育児幸福感の測定を試み、育児幸福感に影響を与えると考えられる1つの個人要因として楽観主義に着目し、育児幸福感との関連について検討しました。その結果、母親の楽観主義が育児幸福感や日常生活での育児幸福感を高め、育児の不安感や負担感といったネガティブな感情を弱める可能性が示唆されました。今後、本研究の知見を、(母)親の育児幸福感や主観的ウェルビーイングの向上を目指した健康心理学的な実践に応用することを目指しています。
【論文名】母親の楽観主義が育児幸福感に及ぼす影響
【掲載誌】健康心理学研究,28(2),47-54,2015.
【著 者】金田亜里沙(関西学院大学大学院文学研究科博士課程前期課程2年)
大竹恵子(関西学院大学文学部)