CAPSワークショップ 1/27  Rを用いた画像データの分析・報告

日時:2018年1月27日(土)14:00-17:00(延長する可能性があります)
場所:関西学院大学上ヶ原キャンパス ハミル館ホール
話題提供者:津田 裕之さん(京都大学 大学院人間・環境学研究科 博士課程)
タイトル:Rを用いた画像データの分析

企画概要:
画像処理は心理学の研究者にはあまり聞きなれない分野かもしれませんが、近年多くの心理学研究において画像処理の技術は広く用いられており、その用途は実験刺激の作成・実験データの分析・認知モデリングなど多岐に渡ります。例えば写真が持つムードは画像内の色や輝度の分布によって大きく変化するので、これを操作することでいい感じに映える写真に変換することができます(Instagramのフィルターなど)。画像に含まれる情報を周波数成分で分解することで、顔や風景などの視覚認知のメカニズムを検討することができます。また、質感の知覚に画像統計量が関係することが知られています。
本チュートリアルでは、画像処理の未経験者を対象に、画像処理の基本知識とRによるプログラミング方法について説明します。扱うトピックとしては画像統計量・周波数解析・画像輝度の統制・空間フィルタリングなどを予定しています。パソコンを持参してその場でプログラムを動かしてもらうと理解が深まると思います。その場合はRとRStudio、及びimager (https://dahtah.github.io/imager/) というRのパッケージを事前にインストールしておいて下さい。plot(boats)とコンソールに打ってボートの画像が表示されればパッケージのインストールは成功しています。

報告:
導入として、画像処理が使用される応用例、および実験場面で利用される例をご説明いただいた。その後、Rのimagerという画像処理の基本的機能を備えたパッケージの用いながら、画像の周波数成分の分解、輝度の調整、フーリエ変換による周波数フィルタリングを中心に、画像処理の手法をご紹介いただいた。
私たちが普段コンピュータや携帯電話上で見ているデジタル画像は、ピクセル (画素) の集まりである。各ピクセルが持つ値は画素値と呼ばれる。画像処理とは、この画素値に何らかの操作を加えることであり、画素値の数値によって、画像の色や明るさが変わる。画像に処理を施した後には、その結果を新たな画像として出力させることもあれば、何らかの記述として得ることもある。心理学では、実験刺激として使用する画像の輝度等を調整する際に、画像処理が施されることがある。その他にも、視覚認知のメカニズムの説明(e.g., 画像に含まれる成分を分析することで、画像を見たときに認知される光沢の原因を説明する)として用いられることもある。本ワークショップでは、聴講者がRを実際に動かすことで、その出力結果の見方などをご説明いただいた。さらに、その結果をグラフ化することで画像統計量を可視化することに加え、実際に画像統計量を分析した研究例を適宜ご紹介いただいた。
本ワークショップでは、適宜質疑応答に応答しながら講義をしていただき、非常に活発な議論がなされていた。画像処理は日常生活だけではなく、特に知覚・認知心理学を専門とする領域においては、実験場面で使用されることが多い。今後、画像処理技術の多面的なさらなる利用が期待される。
(文責:道野栞)

参加者:10名